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「柴田くん、彼女いないんでしょ?」
「そーだけど~」
「じゃあ付き合ってよ!」
「なんでそうなんの?」
あー、めんどくさい。めんどくさくてイライラする。会話すらしたくない!
「尚兎、朝からモテモテだな」
「もー、亮伍助けてよ!うるさい女子をなんとかしてよー」
「知らねーよ」
「ねー亮伍はどうやってそんなスルーしてんの?」
「は?彼女いるっつったらだいたいそんだけだし」
「えー?いないときも?」
「あんまりないけど」
なーるほど!彼女いるんで、か。
使ってみよーっと!
「じゃ、先行くから」
亮伍ったら俺を置いてっちゃったしー!なんで?って思ったら、また女子が現れたからだ。
バンドしてからというもの、毎日のように女子に絡まれる。うざったい!
「柴田くん、今日こそ返事きかせて」
「…俺、彼女いるし」
「え?うそでしょ?誰も女の子と一緒にいるのみたことないよ?」
なにぃ!食い下がらない!通じねー!
「そ、それは〜あーもう!うざい!」
で、結局逃げる。うーん、なんとかならないのか。
「おはよう、尚兎」
亮伍が先に行ったから一人さみしく渡り廊下を歩いていたところ、声をかけられた。呼びすてにするやつってあんまりいないし、すぐわかる。
「离緒仕事ないの?」
「うん」
…そういえば~こいつ俺のこと好きとか言ってた?
「ね〜离緒。俺と付き合う?彼女いないと女子たちがうざくて」
「え!ほ、ほんと!?」
「付き合うとかめんどくさいから、ただ彼女いるっつ〜ことで〜?よくね?」
「うん。嬉しい」
俺は別に嬉しかない。面倒ごとを回避できたらなんでもいいや。
昼休みになって、食堂へ向かう。その途中、また声をかけられた。
「柴田くん!返事は?」
「彼女いるんで〜こいつ!」
离緒を指差す。すると、嫌そうな顔をした。
「うそでしょ?」
「ほんとだし~、ね?离緒」
「うん!」
ありえないという顔をした上級生は、そのまま立ち去った。ついでに亮伍もありえないという顔をしていた。
「なに?俺になんかついてる〜?」
「お前、いくら嘘でも离緒が…」
「ほんとだよ!亮伍くん!」
「はぁ?まじで?え?离緒から?」
「ううん。尚兎」
「なぜ…?」
「さーね!内緒で〜す」
「うっわ、お前最悪」
「离緒がいいって言ったし~」
「うん!いいの!」
「离緒…」
これでしばらくは女子が来ないだろ!
って思ってたけど…离緒は仕事でほぼ来ねーし!
「佐藤さんなんて早く捨てて私と付き合ってよ」
というのが続出したのであった。
まぁ前よりは減ってよかったけどー
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