引っ越してきた人

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「ちょと亮伍」 休日。部屋で図鑑を見ていたところ、母から呼び出し。あー、また面倒なこと頼むんだろーな。 「なに」 「近所に家建ててたじゃない?」 「あー、あれもう完成してるっぽかったけど?」 「今日引っ越してきたのよ?あんた知らなかったの?」 「知らねーよ」 「引越し作業大変みたいだから、あんた、あと亮介(りょうすけ)も手伝いに行きなさい」 「えー、なんで俺?」 「やーねぇ、私は挨拶はちゃんとしたし、これから出かけるし。あんたたち暇なんでしょ?」 確かに亮介はごろごろしてるだけだけど、俺は図鑑見てたし。 「まぁ、挨拶はしないとだけど…」 「じゃ、よろしく。亮介も、ほら行きなさい!」 寝ている亮介は背中を母に叩き起こされた。だっせー 嫌がる亮介を連れて、新しい家に行ってみた。 「亮伍くん!」 「え、离緒?」 電柱に隠れながら声をかけてきたのは、近所に住む幼馴染の离緒だ。 「なにしてんの?」 「あのね、ママが挨拶行っておいでって。でもなんか1人じゃドキドキしちゃって」 「碧唯(あおい)ちゃんは?」 「学校が忙しいみたい」 「へぇー。で、1人なのか。よし、行くぞ!」 离緒も連れて行ってみた。 ちょうど出てきたおじさんを捕まえた。 「こんにちはー!近所に住む柊亮伍です。お手伝いに参りました」 「お!さっきの奥さんとこの。いやぁ似てるね」 気さくそうなおじさんでよかった。 「よろしくお願いします」 「何歳かな?」 「14です。こっちの弟亮介は小学生のガキで、こっちは近所の佐藤离緒っていう幼馴染です」 「そうかそうか。君はうちの息子と同い年じゃないか!」 「へー息子さんいるんですね」 「そうそう。尚兎!ちょっとこっち来てくれ」 「え~なにぃ~?」 気だるそうにした、金髪で長髪の…男、だよね?中学生だけどピアスしてる。非行少年には見えないけどなぁ。 「お前と同い年の子だよ。近所に住んでるんだそうだ」 「へーまじ?俺~柴田尚兎(しばたたかと)」 チャラいやつだなぁ。 「柊亮伍です」 「なんか~チビじゃね?」 「これから伸びるはず。それより、そのゲージ…何飼ってるの?」 少年尚兎の持っていた銀色の入れ物、ゲージが気になった。これは動物を飼ってるな!
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