引っ越してきた人

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「あぁ…これは別に…なにも」 なんでこいつは隠そうとするんだ?もしかしてすげー高いやつとか? いつの間にか、こいつの親父いねーし。 「俺動物好きなんだ。なんでも」 「え、ほ、ほんとに?なんでも?」 目がキラキラした。ヤンキーじゃなくてただの少年だなぁ。 「おーい!柊…何くんだっけ?ちょっと手伝ってくれるかな?」 「亮伍です。手伝います」 おじさんに呼ばれたのでトラックへと向かった。おじさんの手にはゲージ…の中は見えないように布が。しかし隙間からキラキラした皮っぽいものが見えた。 「おじさんのうちは爬虫類がペットなんですか?」 「おー!そうそう!」 「ねーねー!亮伍は爬虫類好き?」 尚兎は馴れ馴れしく俺を覗き込んできた。てゆーか名前呼び早いし。 「まあね」 「ま、まじでー!親父!中まで手伝ってもらおーぜ!」 「おうよ!企業秘密でな」 「…それって?…売ってるってこと?」 「鋭い!頭のいい子だなぁ。そ!おじさんちは爬虫類たくさん飼ってるんだよ~」 「すごい。ぜひ、手伝わせて下さい。おい、亮介も手伝え」 「無、無理!帰る!」 なんなんだよ!あいつ。勝手に帰りやがった! 「离緒、やるよな?…って蛇とかいろいろ大丈夫か?」 「大丈夫!」 なんか気合い入ってないか?熱心なもんだ。 お手伝いは爬虫類入りのゲージを流れ作業で部屋へと運ぶこと。なるほど、引越し業者を使えないわけだ。他の荷物は業者に頼んだらしい。爬虫類嫌いだったら何を手伝えたんだろ? しかし家族ぐるみでこういう仕事してるとかすごいな。 無愛想な柴田家姉は、おじさんの話を聞くと家業を手伝ってくれないとか。思春期なのだろうか?そうは全く見えないけど。 「よし、ばっちり片付いた!ありがとう、亮伍くん!离緒ちゃんもありがとう」 結局一日お手伝いするはめになった。部屋の内部まで侵入してる。 「いえ。じゃあそろそろ帰ります、行くぞ离緒」 「う、うん」 「ねー亮伍!うちに遊びにまた来てよ!」 「お前馴れ馴れしいな!」 「尚兎だよ~!あ~学校一緒かなー?」 「そこの学校だろ?」 「うん」 「じゃあ学校で会えるし。てゆーかお前明日から行くのか?」 「うん。一応」 「そのピアスに長髪はさすがにいねぇよ!お前の前の学校荒れてたのか?」 「えー別にー。これは俺の趣味!ロック好きなんだよねぇー」 ヤンキーじゃなく、こいつはバカだ。 帰り道、离緒がぼけっとしていたので心配になった。 「おい、仕事で疲れてんのか?」 「あ!ううん。違うよ」 「ぼけっとしすぎだし」 「…尚兎…くんってかっこいいね」 な、なにを言い出すんだ! まさか、离緒が男子に興味を持つとは… 「どうしたんだよ、急に」 「なんか、ドキドキしちゃって」 「えーそうなの?まさか、あいつが気に入っちゃったの?」 「うん。私もお友達になれるかなぁ?」 「は?友達?」 なーんだ、友達になりてーだけかよ!ドキドキさせやがって。 「なれるんじゃね?」 あいつ適当に誰とでも付き合いそうだしな…。バカだしな。 「ほんと?」 离緒は目を輝かせていた。
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