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学校の柴田くんはというと、まるでやる気がない。
しかし…意外なことが発覚した。
いつも寝ている尚兎を臨時で入った先生が叩き起こしたのだった。
「はい、柴田くん。この英文読んで」
無茶ぶりであーる。
「え、どこ?」
「ここから…」
「OK」
そう言うとものすごい早口で読み始めた。しかし後半はなんだか違うこと言ってたように聞こえた。
「も、もういいです!」
先生は聞き取れなかったのか、さっさと授業の続きを始めた。
気になったので、帰り道に尚兎に聞いてみた。
「お前英語得意なんだな。後半悪口言ってなかった?」
「うん。つまんねー授業してんじゃねーよブスってね!」
「ひどいこと言ってたんだな。俺には聞き取れなかったぞ。なんとなく嫌味言ってそうな気がしただけだし」
「そー?亮伍英語は得意じゃないの?」
「普通」
「俺ね~洋楽好きなんだよね~」
突然歌い出す柴田尚兎。
陽気なやつだな…
近所迷惑だっつーの
「そんでさ~今はイスラム語とか勉強してるよ」
「なんでまた…」
「取引先だから。親父ばっかりに任せっぱなしだからさー」
そうか…仕事熱心なんだな。こいつ。
語学ばかり堪能なのか。
「おーい!亮伍くん!」
ふと、名前を呼ばれて振り返ると、そこには近所に住む有木憲緒がいるではないか。
「さっき、めちゃ洋楽歌ってたのって…お前か?」
尚兎を指差すが、跳ね除けられた。
「誰このださい人。指差すなよ」
「こいつが歌ってました。引っ越して来たやつです」
「まじー?お前って皐さんの弟だろ?」
「うっせーよてめぇ。」
機嫌が悪い尚兎だ。
「尚兎、この人はお前んちの近所に住んでる有木憲緒さん」
「で?なんなんだよ」
「いやぁ、お前ってすげー歌うまいのな。俺のバンドで歌ってよ」
「は?バンドしてんの?だせーのに?」
「失礼な!お前の姉ともバンドしてるしー」
「そんなのやるわけねーよばか!死んでも嫌だ!」
「いやいや、そのバンドではなくてさ、高校でやってる軽音部のバンドだよ!」
「やだよ。めんどくせー」
年上に対する態度が悪すぎ。ひどいやつだ。
「学祭とかだけでも出てくれよー」
「は?なんで?ボーカルいねーの?」
「ちょっと…うーん、みんな自信ないんだよなぁ」
「てめーが歌えば?」
「お、俺は…破壊的に音痴でね」
「へーだっせーの!」
そんなこんなで有木さんちの憲緒さんと仲良くなった。
中高合同の学祭に出演することとなった。
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