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「あの子かっこいい!」
「中学生でしょ?」
「いけてる!」
学祭では目立ちに目立った尚兎であった。
その打ち上げになぜか無理やり参加させられた。俺はバンドしてないぞ?
場所は軽音部の部室。
「尚兎!お前のおかげで俺たちもてにもてまくりだし!」
「よかったねー。ブサイクな憲緒くん」
「お前すごいな!」
けなされてるのに気がつかないバカな憲緒くん。
「ねー亮伍。女子がさー寄ってきてうざいんだよねー。しかもーヤンキーっぽい女子高生」
しかも話し聞いてないしー。
「よかったな。もてて」
「やだよーうぜぇ」
「お前、それを俺たちにわけてくれよ!」
「柴田すごすぎんだよ」
他の部員も尚兎に寄ってたかっている。
「ねー、つまんねーから帰っていい?」
こいつ…先輩たちのいるとこでこの態度。ひどいやつだ。
「おー、尚兎疲れたもんな。ま、次回も頼むよ」
「えーやだし。亮伍帰ろー」
憲緒さん、どんまい。
部室のドアを開けると出待ち?の女子が尚兎にたかる。
「すごいかっこよかったー」
「もー最高!」
「うぜぇよ。亮伍帰ろ」
あしらいすぎ。なんでこんなに女子嫌いなんだよ…。
「すみません、尚兎が暴言ばっかで。中に他のバンドの人たちまだいますから、一緒に盛り上がったらいかがでしょう?」
「え?参加していいの?」
「うそー!」
ということで部室に女子たちが殺到した。冴えない人にもファンがいるしね。
「よし、帰るか」
「亮伍ってすげぇ優しいね。だからもてるのかー」
「知らねーよ」
尚兎ときたら家に着くなりばたりと倒れる。玄関で。、
「おじさーん、尚兎寝た」
「おー。お疲れだな」
「今日バンドで歌ったんだよ。めちゃ楽しそうだったよ」
「こいつ歌好きなんだよ」
「でも女子にもててもすげぇ嫌そうだった。女子嫌いなの?」
「そうなんだよ…。昔気持ち悪がられてな…。まぁ、優しくしてやってくれよ」
…そうか。家のこと話したんだな。
こいつも、いろいろ考えてるんだなぁ。
能天気に見えるけどさ。
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