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働くぞ! スーパーマン
何時ものように助手としてついてまわるぼく。今日は遊園地にやって来ていた。勿論遊びに来たわけではなく人助けだ。
「あっちだ、あっちから私のお助けレーダーに反応がある」
「えっ、そんなのあったんだ……」
そんなこんな、レーダーに従って歩いていくと何やら人だかりが見えてきた。
「あそこかな?」
「うむ、そのようだな。急ぐぞ!」
「は、はい!」
スーパーマンはSZKと描かれた地味に恥ずかしいスーツを着て走っていく。…………っと転んだ。
「だ、大丈夫ですか?」
「あぁ平気だ、それより急ぐっ」
そこまで言った時スーパーマンのスーツのポケットがブルブルと震えた。
「むっ、電話だ。はいもしもし」
「えっ」
「はい、はい、ええまぁ、分かりました。すぐに行きます。失礼しまーすはーい」
どうやら電話は終ったみたいだ。なんだったんだろう。携帯をスーツにしまうとぼくの方を向いた。
「すまない、助手君。私はこれから会社に向かわなければならなくなってしまった。あそこはまかせたぞ、ではっ!」
「え」
スーパーマンが指をさしたのはあの人だかりだ。
「ちょっ」
ぼくがまたスーパーマンに向き直るとそこにはブロロロロ~とエンジン音を轟かせ走り去るスーパーマンの愛車があるだけだった。
「ちょっと待てって言ってんだろぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
遊園地にぼくの叫びが響き渡った。
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