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エコロジストの彼
彼女のOLが悩み、ネットで相談してる頃、彼氏は樹海を歩いていた。
今日のごはんを探して、のんびりと口笛なんか吹いている。が、そんな気分は長く続かない。
「またか……」
人間を発見した彼は、その人に近づいていった。
近づくと、その人は、まさに、首をくくろうとしていた。
「と、止めるな!!」
突然現れた彼を見た自殺希望者は、慌てている。
「デッド オア エコ?」
そんな問いかけをした彼はにっこりと笑い、自殺希望の男はわけがわからず、ポカンとした。
「どうせ死ぬなら、俺とエコ生活して、地球のためになることをしませんか」
彼は改めてそう話したが、男は怪訝な顔をするだけだ。
「地球のために、俺と一緒に生きてみませんか」
彼はもう一度念を押してみた。
自殺希望の男は彼をよく見てみた。浮浪者のように薄汚れた服をまとっていたが、彼の目は、とても真剣に光っている。
こんな真っ直ぐな目をした者を見たことなかった男は、声を出して笑った。
「そうだな、どうせ死んでた身。あんたに身を預けるのも面白いかもな」
「では、仲間のとこへ参りましょう。あなたと同じような方々がいます。皆、同じような境遇、歓迎します。
ただし、エコ生活をお願いします」
そう話しながら、男と森の奥へと分け入っていった彼は、心の中で地球に呼びかけていた。
――地球を汚す害獣を駆除できなくてごめんね、地球さん。俺は、人間を、人間の心を捨てれない。
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