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やるべき コト
私は何かの衝動に駆られ、頭を下げる。
「ありがとう……あの子を、助けてくれて…ありがとう!」
それだけ言い残すと、落とした紙袋を掴み、足早にその場を去った。恥ずかしくて後ろなんて向けない。…けど、少し、気持ちが楽になった気がした。
無事、父に洋服を渡すと、私は大人しく家へと帰った。部屋に入り、ベッドへと倒れ込む。
目を閉じるとあの光景を思い出す。男の子がひかれる、あの生々しい光景を。知らない記憶の中の父の言葉が頭に流れる。
『あの場に看護師でも居たらな』
あの場に私が居たとは知らない父の何気ない言葉は、私に重くのしかかった。……同時に、胸の奥底からなんとも言えない思いがこみ上げてくる。
私のやるべきこと、やりたいこと……ううん、やらなきゃいけないことはコレなんだ。
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