囚人 今日は○雨

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囚人 今日は○雨

 時雨、氷雨、驟雨、霧雨、雷雨、霙────  今日の雨は、どれだろう。  ポツポツと耳に届く雨音。重すぎず、軽すぎず。煩すぎず、静かすぎず。耳に心地よく、絶え間なく響く。  見えぬ目を持ち上げれば、ぼんやりとした光を捉える。ああ、もう夜か。  ここは夜になると、誰かが必ず光を灯していく。そして朝は随分と弱い光になり、遂に昼には消える。そうして、また次の夜に光が灯される。  今日は何をしようか。  ボクには、朝も昼も夜も関係ない。ボクに影響するのは雨だけ。  永遠に降り続けるその雫の生み出す音が、匂いが、ボクの感情を呼び起こす。  ボクの快楽も苦痛も喜びも苦しみも、全ては雨次第。  湿気った石の薫り。  合いの手のようなポタポタという雨音。  時折ボクにも見える轟音に先立つ閃光。  どれも、ボクが毎日楽しみにしているもの。
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