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キッチンを女性陣に任せ、成田氏はデッキの設営の手伝いをしてくれる。
この家でも何度かこんな会はしているので、慣れてはいるが、手があれば、助かる。
「ま、来たやつにやらせてもいいんで、まったりやりましょう。」
ビール飲みます?と聞くとぜひ、と笑顔が返ってきた。
サーバーの調子を見ながら、ビールを入れる。
おお、泡の具合もカンペキだ。
やっぱ、生だな。
「すごいですね。このおうち。」
「建築士にワガママ言って建ててもらったんですよ。今日、来ますよ。その建築士。」
「へえ…。デッキとかすごくいいなあ。ここから通っているんですか?」
「いえ。ここからだと、仕事出来なくなっちゃうんで。」
成嶋は苦笑で返した。
「まあ、それもそうか。」
「仕事部屋を別途持っていて、普段はそっちに。」
「別宅ですか。」
それを言われると身も蓋もないんだが。
ふと、成嶋は冷静になる。
この、成田の落ち着きだ。建築士にワガママを言ったと言っても動じていないし、別宅と冷静に返して来る。
育ち、いんじゃね?
「成田さん、デパート勤務でしたっけ?何されてるか、聞いてもいいですか?」
「もちろん。今は紳士部という紳士服の販売の部署にいますよ。」
うちのオーダースーツはおススメです。と言われる。
「成嶋さんは銀行でしたっけ?」
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