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「でも、今日のメンバー、オレの仕事仲間でして、仕事の話は出ちゃうと思うんですよ。成田さんの背景は内緒にしますんで、面白いって思ってもらったら、良かったら参画してくださいね。」
「成嶋さん、面白い。銀行員ぽくないです。」
まあ、成田の背景を聞いたらがっつくのが正しい銀行員だろう。
「銀行員ぽくないから、出されたのかなってちょっと思ってるんですけど。」
「なんか、楽しみになって来ました。」
さすが、創始者一族は肝の座り方が違う…。
数日後、成嶋は成田を訪ねた。デパートの紳士服売場である。
普段は裏で仕事をしているらしい。
成田、ですか?お待ち下さいませ、と言った店員は気持ち不思議そうだった。
「成嶋さん。いらっしゃいませ。」
現れた成田のそのスーツ姿は一分のスキもない感じだ。
「こんにちは。近くまで来たんで寄ってみました。なんか、すごいですね。オレ、デパートの紳士服って自分のために来たことなかったかもです。」
「ああ、プレゼント、とかですか?」
「スーツも作業着と一緒なんで、すごい適当に買ってましたし。」
「成嶋さん、営業ですよね?フルオーダーでなくても、イージーオーダーでも、充分ですよ。」
見るだけでも見てみませんか?
「シャツだけ、オーダーにするだけでも気分が違いますよ。」
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