『成嶋さんの休日』

6/7

5739人が本棚に入れています
本棚に追加
/177ページ
生地は、縫製は…と成田はいろいろ説明してくれる。成嶋ももとから人の話を聞くのは好きなので、かなり聞き入ってしまった。 「作ってみたいな、オーダー。」 成田がくすくす笑っている。 「成嶋さん、いいお客様ですね。」 じゃあ、シャツはオーダーで、スーツはイージーオーダーでどうですか?と確認してくれる成田もいい店員だと思う。 「お願いします。」 「かしこまりました。サイズを測らせて頂きたいんですけど、お時間大丈夫ですか?」 「ああ、そうか。30分くらいでも大丈夫ですか?」 「ええ。もう一人呼びますから。」 あくまでお客様の都合に合わせるそれは、成嶋の好むところだ。 かなり、細かく身体のサイズを測られる。 これも、経験、と思ったが。 「成嶋さん、スタイルいいなって、思ってましたけど、本当にスタイルいいです。運動、されてます?」 「まあ…身体が鈍らない程度には。」 「これだと、スーツ、すごく映えると思いますよ。仕上がりが楽しみですね。」 なんでか、いろいろ説明してもらいながら、自分にぴったりのものを選んでもらう、というのはとても贅沢で気分がいい。 なるほど、この感覚ってなんかに使えないかな? オーダーでも、ひと手間あると、特別感のあるこの感じ。 そういうことをすぐに考えてしまうのが成嶋だ。 すぐに会社戻って、企画に繋げたい。     
/177ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5739人が本棚に入れています
本棚に追加