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生地は、縫製は…と成田はいろいろ説明してくれる。成嶋ももとから人の話を聞くのは好きなので、かなり聞き入ってしまった。
「作ってみたいな、オーダー。」
成田がくすくす笑っている。
「成嶋さん、いいお客様ですね。」
じゃあ、シャツはオーダーで、スーツはイージーオーダーでどうですか?と確認してくれる成田もいい店員だと思う。
「お願いします。」
「かしこまりました。サイズを測らせて頂きたいんですけど、お時間大丈夫ですか?」
「ああ、そうか。30分くらいでも大丈夫ですか?」
「ええ。もう一人呼びますから。」
あくまでお客様の都合に合わせるそれは、成嶋の好むところだ。
かなり、細かく身体のサイズを測られる。
これも、経験、と思ったが。
「成嶋さん、スタイルいいなって、思ってましたけど、本当にスタイルいいです。運動、されてます?」
「まあ…身体が鈍らない程度には。」
「これだと、スーツ、すごく映えると思いますよ。仕上がりが楽しみですね。」
なんでか、いろいろ説明してもらいながら、自分にぴったりのものを選んでもらう、というのはとても贅沢で気分がいい。
なるほど、この感覚ってなんかに使えないかな?
オーダーでも、ひと手間あると、特別感のあるこの感じ。
そういうことをすぐに考えてしまうのが成嶋だ。
すぐに会社戻って、企画に繋げたい。
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