『発表会は未経験』

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『発表会は未経験』

「ただいま!」 玄関に炯が帰ってきた音がした。 娘の、さくらが走って玄関へ出迎える。 「パパ、おかえりなさい!」 「まだ、起きてたのか?」 「うん。待ってた。」 炯がさくらを抱いて、リビングに入ってきた。さくらはご機嫌で炯に抱きついている。パパ大好きなのだ。 「おかえりなさい。」 「ただいま。大丈夫だった?」 帰ってくると、家は大丈夫だった?の意味もあるのか、必ず大丈夫?と聞く炯だ。 「大丈夫ですよ。」 葵はそれに笑顔を返す。 炯がいつも家のことを気にかけてくれているのは、分かっているから。 炯はさくらを一旦降ろして、ジャケットを脱ぐ。 葵はジャケットを受け取った。 「さくらは?寝れるの?」 「はい。お風呂も歯磨きも全部終わってます。パパが帰ってくるの、待ってるって。」 「じゃ、さくら、今日はパパが本読み。」 「わーい。」 きゃっきゃと2人がさくらの寝室に入っていく。 炯は、普段は街中の仕事用のマンションに帰宅することが多いので、あまり自宅には帰って来れないのだ。 だから、たまに帰ってくると、大変だ。 どっちもね…。 30分程して、炯がリビングに入ってきた。 「すげー、興奮しちゃって、なかなか寝付かなかったな。」
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