『発表会は未経験』

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「家でも、すごく練習してて。」 この下準備、本番では、本気を出す!という意気込みと負けず嫌い。 「オレの子だな。」 「...ですね。」 「シャワー浴びてくる。」 「うん。ゆっくりして。あ、何か食べます?」 「んー、軽くでいいけど、なんかある?」 「マグロがあるので、お茶漬けとか、どうかな。」 「あー、いいなー。マグロのお茶漬け。」 葵の刺身のお茶漬けは、刺身をすり胡麻や醤油で味付けしたものに、出汁をかけて頂くものだ。 他にも、佃煮や鮭、おひたしなどを別の器に盛り付けて出すので、それだけでも軽く、であれば充分に満たされる量なのだ。 「ダッシュで浴びてくる。」 自分が子供みたいに...。 葵は笑ってしまう。 「お風呂、はいれますよ。ゆっくりしたら?」 「それは今度でいい。」 帰ってきたら、これも楽しみのひとつだから、と笑顔を向けられた。 相変わらず、忙しくしている炯である。 銀行の系列会社のリサーチ&コンサルティング社の統括部長、という地位にある今でも現場は離れていない。 それどころか、移籍してからの人脈を活かしてのコンサルティング業務は、ますますもって、忙しそうだ。 それでも、さくらの行事には、必ず参加する。 いかに可愛がっているか、だ。
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