『秘書は奔走する』

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「すぐ、そんな顔して。」 「…っ!してませんっ…」 「俺はしたかった。ここに凛が絡まるのを想像して、買った。」 相変わらず、全開の貴広だ。 「このシルク、とろっとして、柔らかいだろう。ここに埋もれている凛は絶対可愛い。」 うっとりして、脱いで、と言われる。 完全に貴広のスイッチは入ってしまったようだ。 「いや、脱がさせて。」 ブラウスのボタンを外しながら、丁寧に丁寧にキスされると、身体がぴくんとゆれる。 「貴広さん…っ。」 とろけそうで、つるつるの素材のシルク。 グレイベージュのそのカラーは、確かに凛の色づいた肌に映えた。 「ほら…な。」 とても、とても満足そうな貴広が凛の甘い声を聞いて、さらに満足したのは言うまでもないことだ。 「本当はお式のこととか、相談したかったんですけど。」 「そうだなぁ。僕は、凛の花嫁姿、確かに見たいかも。」 ドレスもいいし、和装もいいな、と言っているけれど、その顔に不埒な雰囲気が見え隠れするのは、凛の気のせいだろうか…。 「凛のご両親も見たいだろう、花嫁姿。だから、式はしたい。凛の好きなようにしよう。」 「…。」 何となく、そう言う気がした。 凛の好きなように。     
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