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秘書同盟が組まれた頃、凛の父と貴広が先日の焼鳥屋で待ち合わせをしていた。
店にちょうど貴広が姿を現したところだ。
「お忙しいところ、すみません。」
「いや、君の方が忙しいだろう。」
まずは、ビールにしますか?と女将さんが気を使ってくれる。
「どう?落ち着いたかな?」
「そうですね。先日も思ったんですが、ここ、美味しいですよね。」
「うん。高級店ではないけど。味はまあまあじゃないかな。貴広くん、お酒はビールでいいのか?」
「途中で変えようかな。生搾りとかいいですね。」
貴広が凛の父に先日偶然、経団連関連の会合で顔を合わせ、一度、2人で食事でも行こう、と声をかけてくれていた。
時間は作らないとない貴広なので、その場で秘書の夏目に頼んで、時間を作ってもらう。
貴広は周りからの印象で高級店しか入らない、ようなイメージを持たれているが、貴広自身は美味しければどんな店構えの店でも入るタイプだ。
「ダメなものはないか?」
凛の父の総一郎の問いかけに、気の使い方が凛と似ているな、と思う。
いや、凛がこの人に似ているのか…。
「なんでも、食べます。オススメはありますか?」
「そうだな…。」
総一郎がメニューに目を落としている。
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