『葵ちゃんの休日』

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葵は実は先日、前職の『ブレア』に寄った。 ちょうど、本社で研修があり、早く終わったのだ。 本当に久しぶりだった。 『ブレア』 は国産化粧品のブランドで、デパートの1階に入っているお店だ。 カウンターに葵が、入社した時に1から面倒を見てくれた先輩の姿がある。 「奏先輩、こんにちは。」 「葵!」 びっくりした顔を向けられた。 相変わらずお綺麗で。 「葵ちゃん!」 「由佳先輩。」 懐かしい面々に囲まれて、嬉しくなった。 「心配してたのよ。なんで、連絡くれなかったの?」 「えっと、退職しちゃってたし…」 何か、あの時はハナから無理って思っちゃったんだよね。 「何か、大人になったね。」 元から、大人だったんですけとね?一応? 「どうしてるの?」 「今は、銀行員してます。」 「え?」 その場にいらっしゃる皆様の絶妙な表情。 うーん、ですよねー。 化粧品から、金融ってどゆこと?ってなりますよね。 「と、葵ちゃん指輪?」 「はい。結婚しました。まだ、新婚ですけど。」 「由佳ちゃん、お店少し任せていい?」 「マネージャー、お願いします。」 あ、奏先輩、マネージャーになられたんですね。これって、取り調べモードですよね。 由佳先輩は真顔だし。 このお二人の阿吽の呼吸、懐かしい。
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