5738人が本棚に入れています
本棚に追加
/177ページ
葵が入社した当時、奏はアシスタントマネージャーの下に付く、リーダーという立場だった。チームは3つ。
そのうちの一つを任されていたのが当時の元宮奏だ。
導入研修が終わり、店舗に配属になって、緊張で迎えた当日。
マネージャーを訪ねるよう言われていた葵が、店舗を訪れた際に、
「あなたのチームリーダーだから。元宮奏。なんでも相談しなさいね。」
と紹介された。
紹介されたその先輩の、目についたのは肌の綺麗さ。
顔立ちの綺麗さ。
髪は綺麗に一つにまとめられており、整いすぎな感じは少し冷たくも感じる。
「じゃ、奏、案内してあげて。」
「はい。」
「よろしくね。元宮奏です。」
「お願いします。羽村葵です。」
「羽村さん、立ち仕事、したことある?」
「バイトで少しだけ。近所のカフェですけど。」
「そっか。じゃあ、少しは大丈夫かな。一日立ち仕事って、結構大変だから。」
話始めると、奏は気取ったところがなく、むしろサバサバしている感じがした。
化粧品会社の社員になると言ったら、親に一番心配されたのはそこだったので。
『女ばっかりの世界でしょ?大丈夫なの?』と。
頑張ります!おかーさん。
「まず、バックを案内するね。」
バックヤードに入るためにはセキュリティ用のカードが必要らしい。奏はそれも準備してくれていて、その後、地下の更衣室に案内された。
最初のコメントを投稿しよう!