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「羽村さん。私が入社した時はね、同じことは2度と聞かないでねって言われたの。」
え?やっぱり怖い世界なんでしょうか?!
「私はそういうのあまり思わない方なんで、一度聞いて分かんなかったら、何度でも聞いてね。むしろ、分かんないまま進んで行ってお客様にご迷惑かける方が怖いから。」
あ、良かった。大丈夫そうです。
奏はリーダーとして、時に厳しく、時に褒められたり、落ち込んでいる時は慰めてもらったり、本当にお世話になったと思う。
同じチームだった楠田由佳にも、とても面倒を見てもらった。アドバイスもたくさんもらった。
自分が退職する時、奏はアシスタントマネージャーに昇進したが、何かあったらいつでも言っておいでね。
結婚式にはちゃんと呼ぶのよ、と言ってもらっていたのに、まさかの相手が消える事件でそれどころではなくなって、自分のことにいっぱいいっぱいになってしまった。
連絡もしなくて申し訳なかったと思う。
だから、お店の前をふと通りかかり、変わらないメンバーを見て、つい懐かしくなってしまった。
でも、早く訪ねるべきだった、と葵は反省する。
「お茶、飲み行こう。」
店舗を由佳に任せ、奏は葵を引っ張って、デパート内のカフェに連れて行く。
「聞こうか?」
久々だ。この聞こうか?
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