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まさか。
ただの、偶然……?
点と点が繋がる感覚。
いや、もしかして……
「滝沢……さん……?」
「正気なの?気付くの、遅すぎだろ……」
彼女の厚ぼったい唇が、ぐっとこらえて歪む。
目が合うと、瞳に溜め込んだ一粒の、光が頬を伝って流れていく。
「う、そ……。だって……」
また声にならずに(バカ……)って、
肩にワンパン入れられた。
痛いなぁ。
ほんとに、
仁藤さんのパンチがじゃなくて、
僕の頭の悪さが、
この上なくイタすぎる。
苗字変えたんだ。
なんで下の名前で気づかない。
そもそも初見で気づけよって話。
でも、良かった。
ほんとに……
場もわきまえず。じわりと込み上げる感情が抑えらきれかった。
二人して泣いていた。
「良かった。滝沢さん。生きてる。良かった。本物だ……」
「当たり前でしょバカ。ホント、ヤダ、もう……気付かないとは、思わなかったわ……私はすぐ気づいたのに……ムカつくじゃん…それ……」
「ごめん。ホント。でもホント良かった」
良かった。
ずっと、ずっと気がかりで、息災祈ることしか出来ずにいたから。
「あれぇ……。お二人とも知り合いだったの、奇遇だね」
社長と烏丸さんは何となく事情を察してくれたみたい。
状況がおかしくなって、最後の方はお互い泣き笑い。何度も『すいません』連発しながら、みんなして笑った。
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