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隆弘へ。
あなたがこの文章を読んでいるということは、私が死んだということですね。
まず、あなたには謝らなければならないことがあります。
あなたがうちを継がずに独立した料理店を開きたいと言った時、私はあなたを酷く責めましたね。あなたの気持ちを考えれば笑って送り出してあげるべきだったのでしょうけど、当時はお父さんも亡くなり、店を守ってゆくというプレッシャーから、あなたに裏切られたような気持になってしまい、酷いことを言ってしまいました。
本当に、本当にごめんなさい。
それと、あなたにはお礼を言わせてください。
あなたのお店が繁盛していると人伝に聞いた時、誇らしく思いました。この商売の辛さは私もよく分かっているつもりです。本当によく頑張りましたね。
またあなたのお店の人気メニューが兜焼きだったと聞き、本当に、本当に嬉しかったです。
直接は伝えられなかったことを悔やんでいますが、改めて言わせてください。
うちの人気メニューの兜焼きを使ってくれてありがとうね。
最後に、わがままを一つだけ聞いてください。
私は死にますが、これからを生きる人たちの役に立ちたい。
ですので、私の死体を調理してあなたのお店で出していただけないでしょうか?
よろしくお願いね。
母より。
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