72人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
西那須野駅で新感線を降りると、タクシーで不動産屋へ向かう。
西那須野駅は田舎ながらも広い道路に沿ってお店が並んでいる。
那須と聞いて、最初に思いついたのは避暑地というイメージだったのでもっと田舎なんだと思っていたから、最初に来たときには、この風景に正直ホットした。
けれど二度目の今日はもうそんな風には思わない。
それは二度目だからじゃなくて、駅を離れて住宅が沢山あるエリアを通り過ぎると自然豊かな景色が広がる事を知ったから。
つまりは田舎だから……。
不動産屋に着くと、入居に関しての注意や説明を受けた後、新しく取り替えたという鍵を渡されてアパートまで送ってもらう。
その日の午後には前回アパートを探しに来た時に注文しておいた中古車が届く予定。
車なんて免許をとってからずっと運転していない。
だけど那須で生活するには絶対必要だと那須の営業所の人たちに言われて、ディーラーまで紹介してもらって、とりあえず中古車を買うことにした。
どうせなら軽のかわいいやつがいいと思っていたけど、運転に慣れていないなら那須は雪が降るから四駆がいいとディーラーにうるさく言われて、全く可愛くない軽の四駆に決まった。
よくおじさんが釣りに行く時とか、林業の人が乗ってそうな色気のかけらもない車。
引っ越しのトラックが来て一段落するとディーラーが来て車を置いていく。
車に慣れるために駐車場を何回か回ると、とりあえず必要なものを買いにスーパーとホームセンターへ行った。
久しぶりの運転に何度もヒヤヒヤしたけれど、とりあえず無事に買物を終えてアパートに戻った。
業者によってきれいに清掃された室内に、今日の寝床を用意してから荷物を入れた段ボールに手をかける。
月曜日からは新しく配属される那須営業所に出勤しなければならないのだから、土日のうちにとりあえず生活できるレベルにしておかなければならない。
と言っても、家賃の高い東京で小さな部屋に一人で暮らしていたから、荷物もそんなにはなくて、意外と荷解きは大変な作業では無かった。
生活に必要なものを出してしまえば後は少しずつやればいい。
なんだかやる気も出なくて、一番最初に設置したベッドに寝転んだ。
最初のコメントを投稿しよう!