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誰も出迎えてくれるものはいない。
刑務所の門を出ると待っていたのは出てくるまでに浴びた雨だけだった。
直前よりも激しさを増している。タバコを取り出し火をつけた。街中まで
一時間くらい歩くと到着するらしい。タバコの煙を吐き歩き始めた。
街に着いて、止まない土砂降りの雨に打たれ、軒下で雨宿りしているときだった。向こう側にタクシーを待つ大人たちに、高校生くらいだろうか若者が混ざった。そいつらはタクシーに乗り込もうとした中年の前に割り込んだ。
「おじさんは、歩かないとメタボになっちゃうぞ」
からかう笑い声が俺にも聞こえた。すると、中年が注意を始めた。
「君たち、順番を守りなさい」
「うるせーっ」
一人が殴りかかると全員で殴り、蹴った。
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