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「見た事もないほど大きなツリー?!馬鹿らしい!」
向こうでマックの父親が息子の話を聞いて笑い飛ばした。
「さっき医者が言ってたがな、体が冷たくなりすぎると幻覚を見るそうだ、お前が見たのはまさにそれだよ。」
その言葉に子供たちは自分だけが体験した訳ではなかった事を認識した
「おじさん、私も見たわ!とっても綺麗な大きな樹だった!」
ニネットがマックの援護をする。
「はん、集団幻覚ってやつだよお嬢ちゃん、見たいって思ってたものが同じだとなる事があるのさ。」
「父さんは見ていないからそう言ってるだけなんだ。」
マックがそう言った。
「ああ、あの日は寒かったしな、遠くの摩天楼がそう見えても仕方ないからな。」
マックの父親が手を振ってそう答える。
そのやりとりを見てジャスティンは首をすくめた。所が意に介さない者が居た。
「ジャスティン。」
母親は息子の顔を両手で支えて言った。
「私は私が見たことを聞いているのではないの。あなたに聞いているのよ。プレゼントは届いたの?」
自分から視線を外さずにまじめな顔を向ける母親を見てジャスティンはふと思った。
こうやって最後に視線が繋がったのは果たしていつだったろう。
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