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ジャスティンは母親が自分の寝顔に興味がない事を知っていた。だから集めておいたガラクタであたかも子供が眠っているかのように布団を盛り上げ、彼女の帰宅よりも早く家を抜け出していた。
冬用の厚手の靴の底を通して来る地面の冷たさに足裏を刺されながら、強く吹き付けるビルの谷間風を必死に耐えてマックと示し合わせていた中央公園の入り口にようやくたどり着くと、既にそこには彼と見届け人を申し出たネオがいた。
「逃げずに来たな。」
「そっちもな。」
三人が合流し、目的の場所に移動しようとしたその時、吹きつける強い風の中に意外な声が背を追い掛けてきた
「待って―!」
三人が顔を見合せて振り返ると真っ白い息を弾ませながらニネットが駆けて来るところだった。
「何しに来たんだよ!」
ジャスティンが思わず声をあげる。
そんな事などおかまいなしに三人の見守る所にたどり着いた彼女は膝に手をついて荒い息を整える。
「こんな寒い中、女子が来る事はなかったんだ。」
マックが呆れたように言う。
するとニネットは荒い息の間から返事を絞り出す。
「あら、私だって、賭けに… 加わって… いたはずよ…!」
「帰れよ。結果は明日教えるから。」
ジャスティンもそう言った。
「そうだよ。今日は冷え込むらしいぜ?」
ネオも首を振ったがニネットは従わなかった。
「私だけのけ者にするつもり?もし置いていくって言うんならあなた達のお母さんにこの事ばらすんだから。」
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