第二幕:聖夜

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 ただでさえ広い場所であるのに自分たち以外誰もおらず、しかも遠くにやたら巨大な建物がそびえているのが見えているといよいよ自分たちの存在が小さく思えてくる。  その広さ一杯に寒々しい闇夜の雪色がくまなく敷き詰められ、頭上をすっかりよどんだ闇色に満たされた光景が心の中まで冷気を押しこんでくるようだ。  ニネットはマフラーで口元を覆い、首をさらに縮めた。  深い雪に足を取られながら四人はその広大なエリアの中央と思しき辺りまで来ると周りを見回した。  「この辺でいいだろう。」  マックが言うとジャスティンも頷いた。  「しかしジャスティン、お前が寝ていないとサンタはこないんじゃないか?」  ネオが言う。  「それは大丈夫だ。サンタが誰にも目撃されていないんなら誰も姿を知らないはずだし、面と向かってプレゼントを渡される話だってある。基本的には寝た子の所に来る事にはなっているが、一晩寝ないと決めている子には起きている間に渡すしかないだろう。俺がもらう資格があればだけどな。」  「じゃぁいいんだな。」  ジャスティンは頷いた。
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