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お互いがいくらか風よけになった事でほんの少しだけ寒さから解放され、背中にぬくもりが感じられる。
かと言ってそれがこの圧倒的寒さに対抗する手段になりえはしないのだが、一人で耐えている訳ではない事に少し安心できた。
「ネオ大丈夫か?」
「ああ、ずいぶん暖かくなってきたよ。」
マックの問いかけにがちがちと歯を鳴らしながら凍えた声でネオは答えた。
「本当にきつくなったら言えよ?クリスマスに風邪っぴきなんて間の抜けた話だからな。」
ネオは返事をしなかったがこくんと頷く振動が全員の背中に伝わった。
吹きつける真冬の風に耐えながら子供たちは身を寄せ合って待ち続けた。
背中越しに他の者の震えを感じながら身を縮めて待ち続けた。
せめて風を避けられる木々の間で待つ事が出来たならいくらかましだったかもしれないが、そこでは上空から現れるであろうサンタの目にとまらないのではないかとそれをよしとしなかった。
動かない景色の中、音の無い世界で、子供たちは話す事も忘れてただ座り続けた。
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