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第二場:起こらない奇跡
言葉をなくしてしまったかのように押し黙ったままの子供たちは降りしきる雪の中に背を預け合って座りこんでいた。
寒さに慣れたのかそうでないのか、いつしか体の震えは止まり、身を切るような痛みはあまり感じなくなっていた。
それはただ待つしかない身としてはとてもありがたい事で、そのまま身を凍えさせる事もなく待ち人の登場まで過ごす事ができればなどと思えた。
身を縮め、膝を抱えていたものだから皆すっかり雪にまみれ、誰が誰だかわからなくなってしまっている。
冷たいはずの雪だが逆にそれが風よけになってくれているのだろうかと思ったりあるいはどうでもよかったりした。
体も心も淀んだ夜に染まった黒い雪に覆われ、凍りついてしまったかのように動かない。
そんなさなかにそれは起こった。
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