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光がさした。
それは闇の中だからこそ見えるよう様なささやかなものだった。
雲に隙間ができ、そこから星明かりがもれたのだ。
無関心だった四人は無意識にその微かで清らかな筋を見つめた。
一瞬だった。
全天を覆う雲の総てがはじけ飛ぶようにかき消え、磨き上げられたような星々がこうこうと輝き視界いっぱいに広がった。
そしてそれと同時に辺りを敷き詰めていた闇色の雪が白銀に照りかえした。
余りの事態に四人はきょろきょろとあたりを見回すしかない。
「晴れた…。」
「うん。」
ひときわ強い風が四人を掠めて吹きぬけ、それが見つめる先で大きな渦になった。
見えない風がそうなったとわかったのは周りの雪を派手に巻き上げ、らせん状に吸いあげたからだ。
子供たちは思わず立ち上がり、それを凝視した。
突風は周囲の雪を天高く持ち上げ、それを上空から四方八方に花火かクラッカーの様にまき散らし、星明かりがその飛沫一つ一つをきらめかせて彩りを添える。
「なんだこれ…!」
マックが思わす声を漏らす。
「ああっ…。」
ニネットは両手で口を押さえた。
「これは… 」
「いや、こんなのたまたまだ!」
ネオが否定した。
この時期に起こり得るはずの無い竜巻は天を覆いかねない勢いで立ち昇り月明かりを受けて輝いた。
しかしなにより驚くべきはそれではなかった。
「見て!」
跳ねるように立ち上がったニネットが体をいっぱいに伸ばして指差しす。
巨大であるにもかかわらず、その場から一切動こうとしない竜巻の中にそれは確かに見えた。
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