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「ジャスティン!」
黄色い声にジャスティンは振り返った。
「来たのよ!サンタさんが!アハハ!」
ニネットが胸に両手をあてて身を乗り出して叫んだ。
「来たのよ!ジャスティン!見て!こんな大きなツリー!私見た事ないわ!きっと世界中のどこにもないはずよ!」
小躍りしながらニネットはジャスティンに駆け寄るとその手を取って大樹に引っ張って行った。
「そんな馬鹿な…。 論理的にあり得ない。だってそうだろ?!」
ネオが目を見開いたままそう漏らしたが、マックは穏やかな表情で微笑んでいた。
「こりゃ、反論の余地がないな。」
「けどマック!こんな事ってあるかい?」
狼狽するネオをマックは笑った。
「認めるしかないだろネオ、他にどう説明するってんだ?姿は見てなかったさ、けど人間業じゃない。こりゃ、本物の仕業だ。」
マックの見つめる先でジャスティンはニネットにとられた手を大樹に押し付けられていた。
「ほら!本当にある!すごい!すごいよジャスティン!」
「あ、ああ… 。」
自分の手と幹を交互に見てジャスティンはようやくそう漏らした。
「ジャスティン!」
ニネットがジャスティンの顔を下から覗きこむ。
「来たんだよ。サンタさん!ジャスティンの所に。」
「そうか… え? そうか、来てくれたんだ。」
「うんっ!」
いつもよりも大きく頷くニネットの姿にジャスティンはようやく表情を取り戻し、そしてもう一度空を覆う偉大な大樹を見上げた。
「来たんだ!」
「うんっ!来たよっ!」
「来たんだぁっ!」
「うんっ!」
叫ぶジャスティンにニネットは何度も頷いた。
「奇跡が起こった!」
「違うわよジャスティン。」
ニネットは小さくかぶりを振った。
「何が違うのさ。」
「これは奇跡が起こったんじゃないわ。起こる事が当たり前に起こったのよ。」
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