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「ああ、情けないわ!どこを探していいのかわからないなんて!私は母親なのに!」
ジャスティンの母の言葉にニネットの父親は自分の不安も押し殺しながら言った。
「落ち着いてください。もちろん子供たちは見つけ出します。でもその前にあなたが倒れてはそれもできない。妻が今ココアをいれてきます。それで温まってください。」
「こんな事をしている場合ではないんです!」
彼女の言葉にニネットの父親も声を荒げた。
「わかっています!しかし、もう一度言いますが、我々が倒れては見つける事は出来ないんです。少しの間体を温めて体力を戻しましょう。」
ココアを入れたニネットの母親がカップを一つジャスティンの母親の前に置く。
「さぁ、あがってくださいな。そして少し考えてみましょう。あの子たちが何を考えてこんな事をしたのか。多分ニネットもジャスティンも同じ所に居る筈だわ。」
ジャスティンの母親はカップを取り上げてこっくりうなずいた。
口にしたあたたかい液体が凍えた気持ちをゆっくり静かに解きほぐしてゆく。それが涙に代わってしまった。
ニネットの母親がその肩を抱き、そっと額を寄せた。
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