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二人の会話を聞いていたジャスティンの母親はかすかに目を見開いた。
「ちょっと確かめてみたい事があるの。一度家に戻らなくちゃ。」
「何か思いだしたのですか?」
「もしかしたら、です。」
立ち上がったジャスティンの母親の様子にニネットの父親も小さく頷く。
「なら、車で送りましょう。」
少し時間が経った後、三人はジャスティンが住むアパートにたどり着いていた。
古い形式のカギをあけ、ジャスティンの母親が息子のベッドまで速足で進んで行くとやはりと声を漏らした。
「どうしましたか。」
後から入ってきたニネットの父親が言うとジャスティンの母親は自分を罵倒した後言った。
「靴下が置いていないの。毎年毎年、とても目立つ派手で大きな靴下を、あの子はすぐわかる所に置いてあったの。サンタさんが見逃さないようにね…。」
「それが手がかり…?」
ジャスティンの母親は小さく頷いた。
「笑わないでくださいね。あの子は、ジャスティンはサンタを信じようとしているんです。だから毎年、彼に手紙をだすの。自分の居場所と欲しいものを書いて。でもうちには暖炉は無いでしょう?」
そう言いながらジャスティンの母親は暖房の排気口に近寄った。
そのすぐ横に封筒が置かれていた。
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