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白い息とともにジャスティンはニネットに真っ直ぐ向いて叫んだ。
繋がった視線に見つめ返してくる相手はただ黙っていた。じっと黙っていた。。
寒さでかじかんだ鼻先に自分の息が当たっていくらか冷静になってくると、吊り上がった眉が下りて来て、怒りに任せ八つ当たりした事に気づいたジャスティンは、ごめんと漏らし視線を横に落とした。
一呼吸の間の後、相手はゆっくり口を開いた。
「ジャスティン、自分で言ったじゃない。見えるものだけを配っている訳じゃないって。」
ニネットのやや抑えた声と、逸らそうとしない眼差しがジャスティンの胸の穴を埋めようとする。
「言ったのは俺じゃない。神父様だ。」
「だったら余計に間違いは無いはずよ。」
ニネットは言ったがジャスティンは首を振った。
「神父様だって勘違いはあるさ。勘違いは嘘じゃない。だから罪にはならないさ。」
目を合わせようとしないジャスティンにニネットはやや大きな声で言った。
「でもジャスティンは信じているじゃない!」
「そうじゃない!信じているんじゃない!…」
真っ赤になった両目を再び相手に向けるとジャスティンはニネットに再び叫んだ。
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