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第二幕:聖夜
第一場:中央大公園
多くの者がいつもよりもいくらか幸せな気持ちに包まれながらそのひとときに感謝し、子供たちは明日の朝に胸を躍らせながら、ベッドに入る。そんな特別な夜がやってきた。
近年まれに見る猛烈な寒波によって白銀の世界に染め上げられた聖夜の街は、数え切れないほどの人間達が住んでいるのがまるで嘘であるかのように沈黙を守り、ガラス一枚隔てたあたたかく穏やかな世界とは一線を画している。
その寒さと美しさと静けさでぞっとするような中を、身を丸めながら少年は歩いていた。
賭けの勝敗を決めるために必要な事はサンタが実在するかどうかであり、巨大なツリーが建っているかどうかではなかった。
その為ジャスティンもマックもサンタがジャスティンの元に来るか来ないかで結果を決める事になっていた。
そうでなければ何かしらの手段を使ってツリーを手配したのちマックに見せれば良い事になってしまうからだった。
どこよりも巨大なツリーをジャスティンの枕元に届けさせることはさすがに無理である事はマックも理解していたので、クリスマスイブの夜にジャスティンが屋外にいることを提案した。
ジャスティンはならばビルが建つ建設予定地があると言ったが、どうせならもっと大勢に見える方が良いとマックは中央大公園の中心に位置する芝原にしようと言った。
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