プロローグ

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プロローグ

綺麗な人間になりたかった。 心も体も、何もかも。 真っ白な魂に。 無垢な精神に。 僕は彼に全てを捧げてしまったけれど、彼は僕に何一つくれやしなかった。 見返りを求めていた訳じゃない。 そうじゃないけれど。 僕を求めたのは彼なのに、僕だけが全てを失った。 何もかもを諦めなければならなかった。 どうして。 どうして。 どうして。 どうして、君はあの子(・・・)に惹かれるんですか? 教えてください。 僕とあの子の、どこがそんなに違うのか。 どうすれば、あの子ではなく僕を見てくれるようになるのか。 何をすれば、あの子のように君に愛してもらえるのか。 答えはきっと単純で。 君は、「タイプじゃないから。」とでも言うのだろうか。 僕の心は置いてけぼりで。 僕の涙は見ようとはせず。 僕の愛を無視して。 僕の全てを拒絶し、君はあの子を選ぶのだろう。 多分君と僕の世界は、そういう風に(マワ)っている。
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