微熱と零度

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 関東地方の都市部にしては、季節外れの雪がチラチラと静かに落ちていく。  あの頃よりも雪の降り方が違い、優しく身体に触れた。  とても冷たく身体の体温で溶けてしまい、水へと変わってしまう。  今現在、恋人と共に教会へと居る。  この外観や内装が真っ白一色で包まれた教会は、恋人がココがいい! と選んだからだ。  これから隣に居る恋人と式を挙げる。周りに見守られながら安心したのか、恋人ははにかむように笑った。  時間になると来客達が教会の中にある、長椅子にズラっと座った。  高林卓也(たかばやし たくや)と恋人は、周りの注目を浴びながら愛の言葉を誓い、キスを交わす。  すると前から太陽の光がガラス張りから漏れ出した。すぐ傍にいた、主役の卓也達に温かく光が灯される。  教会にはたった卓也と恋人しか居ないような、そんな空気感が漂わせた。  その後、恋人と一緒に教会から出る。ドアを二人で開けたら、来客者達が階段の両端に立っていた。階段を一歩ずつ降りる度に沢山の激励の言葉を投げかけられる。  皆にこうやって祝われて、卓也はとても心地良かった。隣で、来客達に笑顔で手を振る恋人とこれからは一緒に生きていこうと決めた。  突然、幸せの鐘と言われる大きなベルが揺れるような気がした。  ゴーンゴーン、とベルの音が重圧でより大きく鳴り響いている。  卓也達の真っ白な正装と、外の天気が雪色で真っ白な景色。その全部がぴったりと合う。  『雪』と言えば、やはりあの旅行が思い出すなぁ。嗚呼、あの旅行でアイツとより仲が深まった気がした。  ほんとアイツが俺の✕✕で良かった。 「青葉(あおば)!」  この日、雪と共に卓也達は恋人から夫婦になる。
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