微熱と零度(1)

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 結局、駅チカのレンタカーを借りて卓也と二人で旅行に向かった。たまたま他の友人達は多忙で断られた結果がこれだ。  青葉も断れば良かったんじゃないかと思ってしまった。  車の運転は代わりながら外の風景を見つめていた。都会暮らしだった二人にとっては、森林に囲まれたら土地が物珍しく感じる。 「まず、何するの? 温泉?」  青葉は、目的の地域に到着すると助手席の卓也にどうするか提案してみた。まだ昼間だけれども山の中だと観光か温泉、ご飯所しかない印象がある。 「いや温泉の前に昼ご飯、食おうぜ。腹減った」  敢え無く温泉は却下され、昼ご飯に決まった。殆ど卓也任せというのもある。  何故なら卓也は気分屋だから周りが振り回されるのだ。 「了解」
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