ある古寺の坊主

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ある古寺がある。 古寺だが、そこにいる坊主は新しい。 新しいが、そこそこ歳はとっている。 坊主になって、二ヶ月だ。 この坊主もとは、羊飼いをしていた。 この坊主は、愛媛県の山のなかで羊飼いをしていた。 あるとき、この羊飼いだった坊主は、50頭のヒツジを、いつものように放牧のために牧用犬として飼いならしている、自分の土佐犬に追わせていた。 その土佐犬が、急にかけだし山の中に姿を消した。 その山の中から「ギャー」という何かの鳴声がしたと思ったら、土佐犬が口になにかの獣をくわえ、この羊飼いの方へやってきた。 土佐犬はくわえていた、屍になった獣を羊飼いのまえに落とした。 羊飼いが、よくその屍の獣を見てみると犬のようだが少し違った。もっとよく見るとオオカミのようだ。 もっと、よく見ると昔動物図鑑で見た絶滅したと思われていた、ニホンオオカミだ。 土佐犬がニホンオオカミをかみ殺して持ってきたのだ。 羊飼いは、えらい事をしてしまったと思い青ざめた。 次の日。 また、いつものように50頭のヒツジを放牧のため、牧用犬として飼いならした土佐犬に追わせていた。 その土佐犬が、急にかけだし山の中に姿を消した。 その山の中から「ギャー」という何かの鳴声がしたと思ったら、土佐犬が口になにかの獣をくわえ、この羊飼いの方へやってきた。 土佐犬はくわえていた、屍になった獣を羊飼いのまえに落とした。 羊飼いが、よくその屍の獣を見てみるとイタチのようだが少し違った。もっとよく見るとカワウソのようだ。 もっと、よく見ると昔動物図鑑で見た絶滅したと思われていた、ニホンカワウソだ。 土佐犬がニホンカワウソをかみ殺して持ってきたのだ。 羊飼いは、えらい事をしてしまったと思い今日も青ざめた。 そのまた次の日。 いつものように50頭のヒツジを放牧のため、牧用犬として飼いならした土佐犬に追わせていた。 その土佐犬が、急にかけだし山の中に姿を消した。 その山の中から「ギャー」という何かの鳴声がしたと思ったら、土佐犬が口になにかをくわえ、この羊飼いの方へやってきた。 土佐犬はくわえていた、屍になった物を羊飼いのまえに落とした。 羊飼いが、よくその屍の物を見てみるとヘビのようだが少し違った。もっとよく見るとマムシのようだ。 もっと、よく見ると昔動物図鑑で見た存在さえ疑われていたと思われていた、ツチノコだ。 土佐犬がツチノコをかみ殺して持ってきたのだ。 羊飼いは、えらい事をしてしまったと思い、また今日も青ざめた。 羊飼いは、幻の生物を次々に殺してしまった事に深い罪を感じ、自分の頭とヒツジ一頭の頭を丸め、 とうとう出家してしまった。 出家して、坊主頭のヒツジと一緒に、今はだれも入っていない古寺にはいった。 殺生をした、ニホンオオカミとニホンカワウソとツチノコは、羊飼いが坊主になってから二ヶ月の間に、ミイラ化させ、古寺のお守りとして木の箱に丁寧に入れて大切に保管しているという。 この坊主は幻の生物を殺生してしまったという罪よりも、幻の生物をミイラ化させ寺のお守りにしてしまったことで、学術上の一大発見を、ただのワイドショーやゴシップネタにしてしまったという罪の方が格段に大きいということにいまだ気づいていない。 それに、気づいたときこの坊主が坊主としての悟りを開くと檀家ではいわれているそうな。
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