プロローグ-消失を埋める存在-

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 光が消える。ようやく思考が周り、視界も広がってきた。  白くて広い広場。霧がかかっているあたり外なのか、ところどころ床は汚れや日差しで黄色や茶色くなっていて、この場所が作られてから それだけの長い年月を感じる。  まだ少し幼く、それでも筋肉がほどよく付いた自身の両腕。それに力を入れて上半身を起こすと、一瞬 腹部に激痛が走り、思わず両手でそこに触れる。  目をやると、浴衣のようや濃い緑色の民族衣装は赤く染まっていた。長物で傷つけられたような傷跡が切れた服の隙間から見えるが、血は止まっている。  一体何があってこうなった……そもそもここはーー俺は誰だ?
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