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”影”は”光”を探す
はぁ……はぁ……はぁ……
探し始めてどれくらいが経っただろう。“彼ら”よりかは実態があるせいか、さすがに疲れてきた。しかし、ここで立ち止まるわけにはいかない。自分の存在さえ、危ういのだから。
“影”は息を整え、再び暗闇の中を走りだした。姿を消してしまった“光”を探して。
突然だった。夜の様子がいつもと違ったのだ。夜は暗いものだ。しかし、その暗さが尋常じゃない。そして、影が、見えなくなっていた。
「“光”の姿が見えなくなった」
“夜”からその話を聞いて、心底驚いた。なぜ、突然?
“影”は必死で“光”を探し始めた。
光がなければ、影はできない。朝が来る前に、光を探し出さなければ、大変なことになってしまう……と思う。“光”がいなくなったことなどなかったから、このまま朝を迎えたらどうなるのか、誰にも想像がつかなかった。
「うわっ!!」
何かに足をとられ、“影”は転んでしまった。
やばい……と“影”は瞬時に悟り、重い足を持ち上げ、立ち上がった。このままだと“奴”に飲み込まれてしまう。
「どこだよ……」
また足を取られないように早足で、しかし見逃さないように目を凝らし、当てもなく探し続ける。
その時、横目にチラッと何かが動いた。そちらに目を向けると、ぼんやりと薄く光っている空間がある。
「いた……」
“影”はそのぼんやりとした光に近づいた。
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