生きていくことは心身共に破裂しそうなほどに苦しいことか

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「えっマヨネーズ?」 「塩コショウだろ!」 「普通、醤油でしょう」 「俺ケチャップ」 「うっわそれは引く」 「なんでだよ、オムライスにはケチャップかけるだろーが」 「オムライスは分かるけど、目玉焼きだぞ?」 「いやってかマヨネーズって何?」 その日、臣人、石松、渡辺、黒崎、ルアンの五人が、たわいもない話をしながら帰っていると、突然、他校の制服を着た一人の女の子が、五人の前に勢いよく立ち塞がった。 五人は立ち止まる。 「あっ、あの!」 勢いよく立ち塞がったわりには、おどおどしながら、その女の子が声を発する。 「おっ何々、ルアンちゃんに用事か?」  石松がニヤニヤしながらルアンの背中を叩くと、女の子は、なぜ分かったのかというような顔をした。 「やっぱりな!俺ら先に行ってるから、ゆっくりして来いよ」 「ファイトー!」 「早く来いよ」 ルアンは黒崎にはこの場に残ってもらいたかったが、そう言う間もなく、四人は軽口を叩きながら、その場から去ってしまった。 取り残されたのは、ルアンとその女の子だけだった。 「あっ、あの……!」 「何?」 ルアンにとってこういうことは煩わしいだけであり、それゆえ、石松や黒崎たちが先に行ってしまったことは、面白くなかった。 「あの!有川結月ちゃんの先輩の、斎藤ルアンさんですよね!?」  しかし、その女の子から紡ぎ出された言葉は、予想外のものだった。 「……そうだけど?」 「あの、助けてほしいんです!結月ちゃんが……」
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