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花壇の前で奥さんは
肩を落としてしゃがんでた、
二匹の犬が寄り添って・・・。
「寂しい・・・寂しいわ
親なんて・・・寂しい。
でも親なんだもの・・・
ずっとずっと親なのよ・・・・」
かすれた声がすすり泣きになり、
木枯らしが駆け抜けた・・・。
使い込んだ小銭入れ、
儚げな笑顔・・・
幽かな・・・枯れた手・・・
あの日、娘の背中を追うように
見ていた哀しい瞳・・・。
幾百、幾千
言えなかった言葉を
身体に閉じ込めていたのだろうか。
花壇には化石のように
死に絶えたカマキリ、ひとり・・・。
ー 了 ー
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