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親と子…………
-葵いアンコール-
そこは、他所の店では、害とされる少し血の気の多い、狩人たちが好んで集まるランチバー。
「はいこれ座古3番テーブルお願い」
オープンキッチン1人の若い女がくわえタバコ自分の世界で世話しなく動いている。
カエン-アンゲリーナそれが彼女の名前。
そしてモーニングの込み入った店内を縦横無尽にわがもの顔で歩く
「にゃにぁー」
黒猫のクオーク。
「ふう~疲れた疲れた…………」
時刻は、朝の轟音のような込み入りどきも少し落ち着いたころ。
アンゲリーナは、昼の仕込みの仕事を一旦中断させカナタたちが座る席1番テーブルへと新聞片手にやってくる。
「こっちくんなくそ他人!」
カナタは、氷つくような人でも殺しそうな目でいった。
「……………………」
ゴン!ごん!
無言の節度ある鉄拳制裁2発。
「誰が他人だ!誰が!あたしゃあんたの親だよ!親が息子と飯食って何が悪い!」
「親じゃねぇだろ!このやろう!おかんぶんなって何度も言ってんだろ!」
巻き舌気味、視界狭くカナタは、いった。
「まあまあカナタそうおこんなってアンゲリーナさんも悪気があっていってる訳じゃねぇんだからただちょっと頭が…………」
ごん!ゴン
再びの節度ある鉄拳制裁2発。
「テト!あんたもだよ!このデコッパチ息子!」
カナタの向かいに座るすこし…………いやだいぶデコが特徴的なテトといわれる少年。
彼の名は、テト-エンリアス、カナタよりは、1つ年上のカナタの兄である。
「フゥ~」
アンゲリーナは、まるで蒸気でも出すかのようにくわえタバコ新聞を広げる。
「………………あんたら相も変わらずまだ狩人とかやってんの?」
机のうえに山のように重ねられたその動物の速見表。
「うるせぇよ!一服するならするでだまってそこでふかしてろよ!」
カナタは、口を尖らせオラオラ口調全開で言った。
「………………」
その頃、向かいに座るテトは、アンゲリーナが見る新聞の片隅ガザの記事を食い入るように見ていた。
「おい!カナタやっぱガザは、あの鳥だ!間違いねぇ!サイズは、これ程じゃねぇが間違いねぇ!あれがガザだ!」
体の向きをかえ新聞の片隅を指差すテト。
カナタもそれに呼応するかのように位置を変え、身をのり出すようにその記事を見る。
「いこうテト!こりゃ思いのほか久々の大物の予感だぞこりゃあ!」
「ああ!かなりな!」
ふたりは、席をけるように走りだし店をでる。
「………………あんたら暗くなる前には、帰ってきなよ!最近ここら辺、人食いラビットでるっていうからね!」
新聞から乗り出すように身を反り言ったアンゲリーナ。
「………………って聞いてねぇし………………聞こえてねぇか…………」
アンゲリーナは、再び新聞を読みふける。
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