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おとこのこのおしり
「サキちゃん、また明日ね!」
カケルくんが私の肩をポンと叩いて廊下を足早に通り過ぎた放課後。私の視線はカケルの背中からお尻に向かう。
「今日もいいお尻だ……」
つい、へらっと顔が砕けてしまう。夕闇に染まる校舎の廊下で小さくなっていくカケルくんのお尻をまじまじと見つめていると脳天に衝撃が走る。
「サキ、また妄想?カケルくんにバレたら嫌われるかもよ?」
私の頭にバッグを叩きつけたアミが冷めた目で私を見つめていた。
「妄想くらいいいじゃない!カケルくんならサッカー部の部長の橋本さんに告白されることだってあるから!何よりあのお尻に陥落しない男なんていないから!」
「腐女子を否定する気はないけど、せめて二次元にしたら?リアル男子で、しかも仲良しの男子のお尻見て妄想するのは私は良くないと思うけどなぁ」
「私の頭の中は妄想だけど、カケルくんはきっと今夜も誰かに抱かれるに決まってるから!」
考え出すとよだれが止まらない。その現場を見てみたい。サッカー部の部長の橋本さんか、生徒会長の荒谷さんか、いやいや学校一のヤンキー佐々木くんだって有り得る。
アミのバッグが今度は私の背中に叩き付けられた。
「帰るわよ。サキのアホな妄想顔は見てて吐き気するし」
なかなか酷いことを言われたが、人類誰にだって妄想する権利はあるはずだ。ただ私の妄想の大半がカケルくんのお尻だというだけでそこまで言われなきゃならないのは腹が立つ。
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