epilogue

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epilogue

「……色が薄くなりつつある?『色』って昴君が、ずっと視えている個々人が持っている色のこと?」 「ああ。(あんず)には言ってなかったけど、実はここ1年ぐらい前から自分の色は薄くなりつつあったんだ。けど、自分の持っている色が視えないからって別に何の不便も感じないから、特に気にしても無かったんだ。ただ……」 私と仲林君――――こと、(すばる)君が付き合い始めて、約2年弱が経過していた。 現在、私達は高校3年生で、所謂(いわゆる)、受験生になっていた。 昴君は理系、私は文系、と進路が大幅に違った為、同じクラスにはなれなかったが、塾が無い時は授業時間が多い理系クラスの昴君を待つのに図書室で勉強する毎日だ。 今日は土曜日で、二人共、午前中に学校の授業で終わった為、夜の塾の授業が始まる迄の間、中央図書館で一緒に勉強しよう、と二人で県立公園まで来ていた。 コンビニでお昼を買って少し遅めのお昼を食べるつもりで、勉強の休憩がてら、県立公園にある緑色をした鉄製のベンチに腰掛けたところだ。 隣に座ってペットボトルの蓋を開けている昴君を、紙のおしぼりで手を拭きながら、私は何気なく見詰める。 彼は知れば知る程、とんでもなく超人的な人だった。 高校1年生の時の入院による長期欠席で、出席日数自体は辛うじて問題なかったものの、普通なら授業の遅れを取り戻すのに大変な目に遭う筈なのに、年明けの実力テストでは危なげなく学年5位以内をキープし、2年生に進級した際の実力テストでは学年トップに返り咲いた。 私が知らなかっただけで、彼は元々、学年トップの成績だったらしい。 (各学期初めにある実力テストの成績は毎回貼りだされてたのに、全く気付かなかった……。クラスの一部の女子に有名って、そりゃそうよ……。イケメンなだけじゃなく、頭も良いとなったら……。侑梨ちゃんに『もっと周りに興味を持て』と言われる筈だわ……) 彼は元々理数系は好きで得意だったらしいが、欧州各地で転生を繰り返した結果、周囲には隠しているものの、英語のみならず仏語、独語、蘭語、ラテン語……と、実は5か国語以上理解出来る。 『……まぁ、日本の古典みたいなもので、俺が完全に理解出来るのは基本的に昔の言葉が多いよ。今みたいに交通機関だって発達してるわけじゃないし、統一国家だったとしても言語まで完全に統一するのは難しかったのか、今以上にかなり地域差があったし。それに、古語も多いから今となっては単語や発音が当然違うし……。日本語の古文だって意味が違う単語は沢山あるだろ? だから、今じゃほぼ死語状態のラテン語が理解出来たところで、現代イタリア語と共通じゃないから、今のイタリア語は正直微妙だし。けど……』
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