epilogue

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『けど?』 『英語だけは中世英語と現代英語、両方大丈夫かな。米語とはスペルが違う単語もあるから、昔、先生からスペル違いを指摘されて、幼い頃、英語を学んでたんですって言い張ったこともあるけど。受験上はリスニングで米語じゃなく英語が出ることもあるし。まあ問題無い』 羨ましいと思う反面、そんな色んな時代の様々な地域の言語、頭の中で混乱することはないのか、とつくづく思う。 昴君に尋ねてみたが、過去の記憶と共に言葉を理解している為か、特に意識しなくても混乱することは無いそうだ。 過去、アンジュ姫として生きた筈の私なのに、今のところ、日本語以外の言語がさっぱりなことを考えれば、能力差は歴然としてると思う。 理数系を得意としている理系だと、英語に苦手意識を持つ人が意外と多いらしいが、理系で文系の私より英語を含めた語学系が圧倒的に得意という昴君。 受験生としては、鬼に金棒なのではないだろうか?と感じるのは、私だけでは無いだろう……。 昴君は【カレ(セラ)】が亡くなる原因となったアナフィラキシーショックについて詳しく知りたいと思った結果、そこから人間が持つ免疫システムそのものに興味を持ったらしい。 アレルギー疾患や免疫不全疾患、自己免疫疾患等、免疫異常についてより詳しく知り、実際に苦しんでいる人達を助けたいと考え、医学部医学科へ進学したいと決断した。 将来は出来れば大学病院で臨床医として働きながら研究もしたい、と考えているそうだ。 私はと言えば、エピリ王国について書かれたアルフレッドさんの研究論文を読んでからというもの、暗黒の時代と言われた中世ヨーロッパに改めて興味を持ち始め、文学部を受験することに決めた。 大学へ無事、入学出来たら、史学科・西洋史専攻に進みたいと考えている最中だ。 中世ヨーロッパと言っても、かなり長い期間に渡る為、大学へ入学してから改めて研究したいテーマを考えたいと思っている。 ――――とまぁ、今は二人共、大学受験に向けお互いに頑張っている最中だ。 「……ただ?」 「最近は杏の色まで薄くなってきた気がして……。ふと周りを意識して視てみたら、殆ど色が視えなくなってるのに気付いた」 「……何でだろう?」 「多分、杏に無事、再会出来たからだと思うけど。亡くなった人の色は元々視えなかったけど、今迄、何度も転生を重ねても、一度も色が視えなくなったことは無かったから。多分、セラにとって必要なくなったんだよ。こんな能力」 「一度、視てみたかったな……。昴君の色」 「杏と同じ色、だけど?」 そう笑って言って、昴君は私の手を取った。 「――――ほら。混ざっても一緒」 繋がれた手を空に向け透かそうとしてみるが、やはり何も視えない。
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