epilogue

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「……前から思ってたんだけど、彼女の色……。妹だったカサドラの色に物凄くよく似てる気がする」 「えぇ!? ま、まさか……」 突然の昴君の発言に、持っていたお茶が入ったペットボトルを落としそうになった。 「……ま、今じゃ俺も殆ど見えないし。数百年も前のことだから、カサドラの色の記憶は、俺の色と同じ杏とは違って、やっぱり曖昧なところもあるから。ただ、カサドラの、あの明るくハッキリとした強い色を持つ人間もそうそう居ない気もするんだよな……」 「……」 「ま、こんなに広い地球上で、場所も時代も一緒っていうような俺達が再会出来た、そんな奇跡のような偶然、そう何度も何度も起こる訳ないとは思うけど」 昴君はそう言うと、ペットボトルの水をごくんと飲む。 そう言えば、昴君が入院してた時、侑梨ちゃんは驚きつつも、何も言わず何も聞かずに、私に協力してくれてたことを思い出した。 そして、一番最初に昴君の私に対する視線に気付いたのも、実際に見られていた私ではなく、やっぱり侑梨ちゃんだった――――。 「……でも、もしかしたら、そうなのかも、ね?」 くすくすと笑っていると、どこか不思議そうに昴君は私に尋ねる。 「何か思い当たる(ふし)でも?」 「……内緒。ただ、私達が付き合い始めた頃、報告したら凄く喜んでたかなぁ、って思い出してたの。それに、昴君が入院してた時、お見舞いに行くのに、図書委員の仕事、沢山、協力してもらってたなぁって……。他にも、侑梨ちゃんに昴君のこと話してる時、いつも、どこか嬉しそうだったなぁ……って漠然と感じてたから」 「そうなんだ?」 「うん」 それまで男子に興味を全く示さなかった私が、昴君のことを話すのが、ただ単に珍しかったのか、1年生の時から彼氏持ちの侑梨ちゃんにとっては私と共通の話題が出来て単純に楽しいのかな、と今までは、ぼんやりと思っていたが、もしかしたら、彼女は無意識下で何かを感じ取っていたのかもしれない。 「まぁ、彼女がカサドラだったとしても、あの様子じゃ恐らく何も覚えてないだろうな、とは思うけど……」 「……実はね。昴君のお見舞いの件では、侑梨ちゃんに色々とお世話になってたから、私もお礼しなきゃ……って思ってたら、『御礼なんていいのっ! 私、杏ちゃんが幸せそうな姿を見るのが、何でかよく分かんないんだけど、心の底からすっごく嬉しいからっ! パンケーキはただ単に一緒に食べたいだけだしっ!!』って言われて、結局、押し切られたんだよね……」 「……ますます、彼女、カサドラっぽいんだけど?」
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