ゆずれない思い

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祐ちゃんが静かに話し始めた。 「日本とは文化が違い過ぎて、馴染めないのも辛いだろうし、俺が仕事に行けば家で独りぼっちになるんだぞ? きっと泣くぞ?沙都は。 寂しがり屋でおっちょこちょいだしな…、世界中が日本みたいに、安全な国ばかりじゃない。 宗教や戒律が厳しくて、苦労すると思うんだ。そんなとこに、沙都を連れては行けない。」 「祐ちゃん? ア、アメリカじゃないの?行き先。」 「サウジアラビア…だけど?」 サウジアラビア……、中東…油田…富豪…? 危ないの? 「1年で帰って来る!絶対に。 だから、待ってて欲しい…。結婚式の準備をしながら、待っていてくれてもいいんだよ? すぐだから、1年なんて。 俺の気持ちは変わらない、ずっと沙都のこと好きだから。」 「私のことを考えて、日本にいろって言ってくれてたの? 祐ちゃん…ゴメン!」 私は、祐ちゃんに抱きついた。 何も知らなくてごめんなさい!私のこと考えてくれてたのに…、勝手に不安になって怒って、ごめんなさい! 「祐ちゃん、大好き!」 更にぎゅうっと、しがみついた。 「俺も…。」 「祐ちゃん? アメリカって、言ってなかったっけ?」 「言ってない…。」 ははっ、マ、マジか! サウジアラビア……、後で調べてみよう。 まだ、諦めたわけじゃないから……。 祐ちゃんの行く所なら、何処にでもついて行く覚悟は有るんだから! だって祐ちゃんと、やっぱり離れたくないんだもん…。        to be continued
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