端緒

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端緒

 さて、数か月前に私にメールで、ある短編小説が送られてきた。  私に送られてくるのだから、勿論618フィクション(『618』に触発されたフィクションの総称)である。  メールには『一読していただきたい』という短文の他には、何も書いておらず、返信しようとしたがアドレス自体が消滅しているらしかった。  となれば、短編小説の形をとった『告発』であろうかと考えるのが普通だと思うのだが、現在に至るも該当する事件には心当たりがないという状態である。  では、何故私に送ってきたのだろうか? 私に送っても、アンソロジー等に組み込まれる可能性は限りなくゼロだ。(一応、出版社に伝手はあるが、私の推薦など向こうは鼻もひっかけないだろう)  しかし、何度か読むうちに、もしかしたら、というぼんやりとした考えが浮かんできた。  仮にそれが当たっているのなら、私はこの短編小説を公開せざるを得ないのだ。  というわけで短い前置きではあるが、読者諸君にとにかく読んでいただきたいと思う。  私の考えは、一応最後に明記するが、それが当たっているかどうかは、各自で判断してほしい。
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