プロローグ

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サンナイには別の集落から来た男たちがたくさんいた。最近では交易船と一緒に相手探しにやってくる女たちも多い。   今日もイトから来た丸木舟に何人か成人した女が乗っていた。皆右側の眉毛の上に赤い線が引かれている。 これから数日間、サンナイはいつも以上に活気が出る。 船で運び込まれた品々は大集会場に集められる。土器を運んで先に行ってしまったタケリを追いかけイヒカは走り出した。 途中近道をしようとイヒカは小高い丘を抜けることにした。浜からのまるで獣道のような坂をよじ登る。 もう少しで丘の上に到達するところで、誰かがイヒカに手を差し伸べた。 見上げると土の仮面を被った男が立っていた。仮面にあいた二つの穴から男はイヒカを見下ろしていた。 イヒカは躊躇しながらも男の手を取った瞬間、その柔らかさに驚いた。 背の高い男だった。タケリよりも高い。サンナイでこんな男は見たことがない。だからと言って今日丸木舟でやってきたイトの男でもなさそうだ。 「マンザーナ」 男は言った。
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